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ウェーベルン ピアノのための変奏曲 Op.27 1〜2楽章について【分析】
こんにちは、首藤健太郎です。
少しずつ分析の記事を上げていこうと思います。今回は、ウェーベルン作曲 「ピアノのための変奏曲 Op.27」より 1〜2楽章について です。
そこから今回は、第1・2楽章を取り上げる。
アントン・フリードリヒ・ヴィルヘルム・フォン・ヴェーベルン(Anton Friedrich Wilhelm von Webern, 1883年12月3日 - 1945年9月15日)はオーストリアの作曲家・指揮者・音楽学者。一般的にはウェーベルンと呼ばれることが多い(以下ウェーベルンと表記)。
シェーンベルクやベルクとともに、新ウィーン楽派(無調音楽・12音技法を開拓した)の中心メンバーである。
12音技法とは、主音・属音などの概念や、1度の和音5度の和音などのような和音を使用する「機能調性的な音楽」とは異なり、西洋音楽における1オクターブ内の12の音高を均等に使用することによって、「調」の束縛から離れた作曲技法である。
作曲する際、まず初めに、12個の音による「音列」を作り(基本形)、その移高したもの、およびそれらの「逆行形」・「反行形」・「反行の逆行形」を使用して曲を構成する。
以下に、『「十二音による対位法」南弘明著(1998 音楽之友社)』(廃版)より、原則を記す。
①オクターブ以内の12個の全てを含んでいなければならない。換言すれば、同一音が複数存在してはならない。
②音列中の連続した3個あるいは4個の音によって、長三和音や短三和音のような、調性的な和音が形成されることを避けなければならない。
③同一音程が単純に連続する音列を形成してはならない。
④十二音技法における音律は平均律であること。また、音列を形成している各音の順序が重要な事柄である。
ウェーベルン ピアノのための変奏曲 Op.27は、1936年に書かれ、別紙「ウェーベルン ピアノのための変奏曲 Op.27 音列について 」の「基本形1」の音列をもとに、書かれている。

第1楽章
第1楽章は「A・B・A’」の複合3部形式と思われる。また、セクションごとに点線で示した部分を軸として「鏡像」となっている点が特筆すべき点である。
以下、セクションごとの使用音列一覧である。
基本形は赤
逆行形は青
反行形は紫
反行の逆行形は緑
(12音技法・基本形・逆行形・反行形・反行の逆行形などについてはこちら)

また、以下の点も、音列の使用法の拡張として考えられる。
①和音の使用。(音列を縦に配列し、和音として使用する。本曲では、随所に用いられる)
②音列の交差。(声部の途中で、右手と左手の使用音列が交差し使用されている。本曲では、随所に使用されている。)
③音列の重複。(フレーズの始めや終わりなどで、前の音列と次の音列が重複して使用されている。本曲では、11小節目、15小節目など、たびたび用いられる。)
④音列の配置順序の変更。(音列本来の順序を一時的に変更する。本曲では、53~54小節で用いられている。)



第2楽章
第2楽章は、(単純)2部形式と思われる。「A」音を軸とする、半拍遅れの反行カノンで構成されている。

また、1楽章同様に以下の点も、音列の使用法の拡張として考えられる。
①和音の使用。
②音列の交差。
③音列の重複。

以上、何かのお役に立てばと思います。
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