オーケストレーション(管弦楽法)を習得したい方へ 004 グリーグ:ワルツ 原曲(ピアノ版) を 金管五重奏版 へ

 このシリーズ、第1回はオーケストレーションとレッスン概要を、第2回では弦楽四重奏版アレンジについて、第3回では弦楽アンサンブル版についてお話ししました。今回は金管五重奏版です(注意:作例は絶対的な解答ではなく、編曲する人や、考え方や、翻案の仕方によりさまざまであることを、ここに記しておきます。ご了承くださいませ)。管楽器の中でも、木管楽器同士より金管楽器同士の方が音色が均質のため、扱いやすさとしてこちらを先に学習します。

 まずは原曲(ピアノ版)です。

原曲(ピアノ版)

 金管五重奏で最も一般的な編成は、1stトランペット、2ndトランペット、ホルン、トロンボーン、チューバで、各奏者1人ずつです。
トランペット(Trumpet)・・・Tp.と略記
(フレンチ)ホルン(French Horn)・・・Hn.と略記
(テナー)トロンボーンTenor Trombone・・・Tb.と略記
チューバ(Tuba)・・・Tu.と略記

 弦楽四重奏や弦楽アンサンブルと同じく、Tp.に関しては1stと2ndがありますが、役割が違う別のパートとなります。Tp.はin Bb、Hn.は in Fの移調楽器なので、前者は「ド」を演奏すると「シのフラット」なのでつまり記譜の長2度下、後者は「ド」を演奏すると「ファ」なのでつまり記譜の完全5度下の音が出るという仕組みです(移調楽器についてはここでは詳細な解説は避けます)。
 並び順は色々ありますが、大きく分けて、隣接配置型と呼ばれるものと対向配置型と呼ばれるものがあります。
例えば、左から
①1st Tp.、2nd Tp.、Hn.、Tb.、Tu.
②Hn.、Tb.、Tu.、2nd Tp.、1st Tp.
のような隣接配置型
③1st Tp.、Hn.、Tu.、Tb.、2nd Tp.
④2nd Tp.、Hn.、Tu.、Tb.、1st Tp.
のような対向配置型があります

和音の演奏しやすさ、メロディの聞きやすさ、全体のバランス、曲の構造などによって変わっていきます。

 次に金管五重奏版にした楽譜と音源(①〜④の配置のもの)を掲載します(配置の違いは、イヤホンやヘッドフォンでの視聴をオススメします)。

Vals – Walzer ワルツ Op 12, No 2 金管五重奏版(隣接配置型)①1st Tp.、2nd Tp.、Hn.、Tb.、Tu.
Vals – Walzer ワルツ Op 12, No 2 金管五重奏版(隣接配置型)②Hn.、Tb.、Tu.、2nd Tp.、1st Tp.
Vals – Walzer ワルツ Op 12, No 2 金管五重奏版(対向配置型)③1st Tp.、Hn.、Tu.、Tb.、2nd Tp.
Vals – Walzer ワルツ Op 12, No 2 金管五重奏版(対向配置型)④2nd Tp.、Hn.、Tu.、Tb.、1st Tp.

  いかがでしょうか?基本的には、上から音域順に原曲の音をそのまま当てはめていますが、いくつか異なる点もあります。
1・・・冒頭のイントロにおける伴奏音形の考え方とアーティキュレーションの追加について
2・・・アクセント記号追加について
3・・・13〜14小節のメインメロディについて
4・・・15〜16小節のHn.について
5・・・17〜18小節のHn.・Tb.について

 順番に見ていきましょう。

 まず、1〜2については 第2回でお話しした内容と同じなのでそちらをご覧ください。

ということで、 3・・・13〜14小節のメインメロディについて です。
 基本的には、トップノートを1stTp.に担当をさせていますが、ちょっとしたギミックとして実施するのが、担当声部の交換です。なお、この部分は反復進行になっています。ずっと1stTp.に担当させても問題はないのですが、入れ替えることによって奏者が代わり、聴衆は音色の微妙な変化や音源の位置の変化(奏者の場所が変わるので)を楽しめ、対話のような形となることで演奏者は飽きずに興味を持ちながら演奏できます。

 続いて、 4・・・15〜16小節のHn.について です。
 ここも、音域順でいくと、2ndTp.が担当するはずですが、Hn.にしました。理由は  と同じです。

 最後に、 5・・・17〜18小節のHn.・Tb.について です。
 こちらも、音域順でいくと、高い音をHn.、低い音をTb.にしますが、音色と、安定した完全5度音程をTb.とTu.に担当してもらいたかったので、逆にしました。音域順でも問題ないです。
 
 もちろん、シンプルに全てを音域順にしても良いですので、そのバージョンも作ってみました。
皆さんはどちらの方が良いと思いますか?
 

Vals – Walzer ワルツ Op 12, No 2 金管五重奏版 シンプルに音域順(隣接配置型)①1st Tp.、2nd Tp.、Hn.、Tb.、Tu

いかがでしたでしょうか?今回は金管五重奏のためのアレンジでした。
次回は、木管五重奏のためのものを記事にしたいと思います。
 また、レッスンを受けてみたい、レッスンについてもっと詳しく知りたい、という方、お問い合わせはこちらからどうぞ!
それでは!

shuto

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