オーケストレーション(管弦楽法)を習得したい方へ 007 グリーグ:ワルツ 原曲(ピアノ版) を 通常1管編成オーケストラ版 へ

 このシリーズ、第1回はオーケストレーションとレッスン概要を、第2回では弦楽四重奏版アレンジについて、第3回では弦楽アンサンブル版について、第4回では金管五重奏版について、第5回では木管五重奏版について、第6回では特殊1管編成オーケストラ(木管五重奏と弦楽アンサンブル)版についてお話しをしました。
 今回は通常1管編成オーケストラ版です(注意:作例は絶対的な解答ではなく、編曲する人や、考え方や、翻案の仕方によりさまざまであることを、ここに記しておきます。ご了承くださいませ)。

 まずは原曲(ピアノ版)ご覧ください。

 オーケストラの規模を、1管編成オーケストラや、2管編成オーケストラなどのように、◯管編成という言葉を使い表します。基本的には◯に当てはまる数字の分、それぞれの管楽器奏者がいると思ってください。特殊1管編成 とありますが、楽曲によって1管編成というのは結構まちまちではあります。今回、通常1管編成オーケストラとして、木管はFl.・Ob.・Cl.・Bn.1本ずつ 、金管はHn.を2本、Tp.とTb.は1本ずつ、打楽器はティンパニ(Tim.)、弦楽アンサンブルを扱います。並び順としてはこのように上からスコアに配置します。Hn.は金管楽器で音域としては、Tp.より下ですが、木管楽器とも融和性があり、伝統的に木管楽器に近い位置、つまりTp.より上に書きます。Hn.だけ2本ですが、よく2本でセットにされる楽器で1管編成でも2本のことも結構あります。また、Hn.を含めた金管楽器で4声体の和声を奏でることもでき、安定した編成ともいえると思いますので、今回はこれを通常1管編成として扱います。なお、Tb.がなかったり、Hn.が一本だったりすることもあります。

 以下に、通常1管編成オーケストラ版にアレンジした楽譜と音源を掲載します(視聴は、良いスピーカーや、ヘッドフォンやイヤフォンをお勧めします)。

Vals – Walzer ワルツ Op. 12, No2 通常1管編成オーケストラ版

  いかがでしょうか?前回に比べて、Tp.・Tb.・Tim.が加わると、充実した「オーケストラ」という感じの響きがしますね!
 さて、基本的には特殊1管編成オーケストラを下敷にしていますが、原曲といくつか異なる点も含め、詳しくみてみましょう。
1・・・冒頭のイントロにおける伴奏音形の考え方とアーティキュレーションの追加について
2・・・アクセント記号追加について
3・・・2〜10小節のメインメロディ(Fl.・Ob.)について
4・・・11〜12小節について
5・・・13〜14小節について

6・・・15〜16小節について
7・・・17〜18小節のメインメロディなどについて

8・・・Hn.について
9・・・Tim.について
10・・・最終小節のダイナミクスについて
 順番に見ていきましょう。
 まず、1〜2については 第2回でお話しした内容と同じなのでそちらをご覧ください。

 ということで、 3・・・2〜10小節のメインメロディについて です。
 ここは、Ob.だけでも良いですが、オーケストラの規模も大きくなってきましたので、メインメロディの1oct.上をFl.で増強しています。ぜひ第6回の記事も参照ください。この部分のFl.のないバージョンも作りましたので聴き比べてみてください。

Vals – Walzer ワルツ Op. 12, No2 通常1管編成オーケストラ版(3〜10小節Fl.なし)



 続いて 4・・・11〜12小節のメインメロディについて です。
 ここは、Ob.のままでも可能ですが、音楽の変化があるので、楽器も変えてCl.にしてみました。その点については、特殊1管編成と同じですが、メインメロディの1oct.上をFl.で増強しています。特殊1管編成ではメインメロディに1stVn.を重ねて強調していましたが、今回はFl.を重ねたためしていません。ただ、1stVn.を重ねるのもありです。

 続いて 5・・・13〜14小節のメインメロディについて です。
 ここは再びOb.に戻しています。このことで、11〜14の反復進行の間、音色の変化を楽しめます。演奏してる方も、役割が変わり有意義に演奏ができます。以上の点については、特殊1管編成と同じですが、メインメロディの1oct.上をFl.で増強しています。特殊1管編成ではメインメロディに2ndVn.を重ねて強調していましたが、今回はFl.を重ねたためしていません。ただ、2ndVn.を重ねるのもありです。
この4と5について弦楽器のメインメロディをありのヴァージョンを作りましたので、聴き比べてみましょう。

Vals – Walzer ワルツ Op. 12, No2 通常1管編成オーケストラ版(12〜15小節arcoあり)

 続いて 6・・・15〜16小節のメインメロディについて です。
 15小節は再び、メインメロディをCl.にそして16小節でHn.に移り変わります。ここからクレッシェンド記号で全体はフォルテに向かっていきます。Fl.はメインメロディの1oct.上を演奏することで強調する役割を担います。

 続いて 7・・・17〜18小節のメインメロディなどについて です。
 今回は、Fl.をメインメロディの1oct.上で強調する役割を、それ以外の木管楽器、あと金管楽器は音域順に配置して、比較的演奏しやすく、悪く無い効果です。弦楽器は弦楽アンサンブル版と同じです。

 続いて 8・・・Hn.について です。
Hn.は練習番号Bからの反復進行で低音を担当しています。2人で1組になり演奏することが多く、アクセント部分で完全5度でハモります。Bn.とHn.などでも可能ですが、Hn.同志の演奏でよりバッチリ決まる効果的な使い方です。

 続いて 9・・・Tim.について です。
打楽器の中でも、Tim.はトップ奏者であり、それ専門の担当役であって、他に打楽器が必要な場合でも通常は持ち替えて演奏することはなく、他の奏者が担当します。今回の編成は、通常1管編成のオケであり、他の打楽器はしようしていません。
Tim.は現在ではペダルでピッチを操作できるので、最初に掲載して楽譜と音源では、最後の4小節はほぼバスのラインと同じ音となっています。15〜16小節ではトレモロあるいはロールといって、ばちで連続的に叩き、さらにクレッシェンドすることによって、盛り上げ役を担っています。楽譜に記載されたのように書くのもいいですし、「tr.〜〜」のようにトリルの記号で書いても良いです(この場合は、書かれた音符とその2度上の音のトリルではなく、同音連打を意味します)。17小節の2拍目は本来のバスは「ミ・ファ」ですが、和音としては「レ・ファ・ラ・ド」なので、「レ」の音の連打で対応しています。古典的な手法ですと基本的にTim.は主音と属音(今回の曲では「ラ」と「ミ」)の2音で一対のものを用います。全楽器が一体となって盛り上がって、ドミナント→トニックのカデンツ部分で用いることが多かったためです。今回の場合は、楽曲中では必ずしもバスのラインと同じにはならず、和音の中の構成音のいずれかに当てはまる場合に用いることが多いです。古典的な手法によるヴァージョンも作ってみたので聴き比べてみましょう。

Vals – Walzer ワルツ Op. 12, No2 通常1管編成オーケストラ版(古典的なTim.による)

 10・・・最終小節のダイナミクスについて
フェルマータのついている部分はピアノ、実際はフォルテからすぐにピアノになります(スビトピアノといいます)。そのため、最後の音符にその効果をさらに与えるため、いっそのこと金管楽器とTim.を無しにしてしまうのもありでしょう。そのヴァージョンの音源も作ってみましたので聴き比べてみましょう。

Vals – Walzer ワルツ Op. 12, No2 通常1管編成オーケストラ(最後の音符について、金管楽器とTim.なし)


 いかがでしたでしょうか?今回は通常1管編成オーケストラ版のためのアレンジでした。
次回は、ついに通常2管編成オーケストラのためのものを記事にしたいと思います。
 また、レッスンを受けてみたい、レッスンについてもっと詳しく知りたい、という方、お問い合わせはこちらからどうぞ!
それでは!

shuto

Recent Posts