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自然への喜びの讃歌(カワイ出版)について

「自然への喜びの讃歌」(カワイ出版)の動画を、湘南ユースクワイアさんがyoutubeにアップしてくださいました!イギリスの詩人・ワーズワースの作品に作曲しました。もうお聴きいただきましたか?
英語の詩ということで、動画についての説明文章を英語表記したものも掲載していただきました。湘南ユースクワイアのみなさま、ありがとうございます!改めて「日本をはじめ、世界中の方に聞いていただきたい」と強く思いました。

さて今日は、この曲の音楽(旋律を基準にした)形式について少々書いてみようと思います。(詩との関連の詳細はひとまず置いておきます)。

この作品、「主題」が反復されること(ソナタ形式において通常言われる「確保」)はありますが、それぞれの「主題」が他の部分を挟んだ後に「再現」されることはありません。
小節数を示しながら、「主題(合唱の部分)」をアルファベットで区切ってみます。(アウフタクトがあったり、次の区分にまたがっている旋律を含む部分があります)
  • 1〜9   「A」
  • 9〜20  「A’」
  • 21〜24 ピアノによる間奏
  • 25〜32 「B」
  • 33〜40 「B’」
  • 41〜48 「C」
  • 49〜56 「C’」
  • 57〜62 「D」
  • 63〜68 「D’」
  • 69〜77 「E」

 

  • 78〜85 「F」
  • 86〜93 「F
  • 94〜101「G」
  • 102〜109「H」
  • 110〜113「H
  • 114〜122「I」

 

  • 123〜130「J」
  • 131〜140「K」
  • 141〜148「L」
  • 149〜159「M」

大まかなテンポの速さで区切ると、複合3部形式のように見えますね!

以上のような構成について、作曲をする段階では厳密には考えておらずに、いわゆる「夢中になって」作っておりました。従って、先日ブログに書きました、声楽のソナタシリーズとは違う創作プロセスです。
構成としての作曲「Compose」ではなく、詩を元にした創作「Create」にある意味「止まっている」ともいえるのかもしれません。逆に、羅列型の構成と考えましょうか。一般的には、シューベルトの「魔王」を例にあげることが多いですが、「通作歌曲の形式」と理解されるのでしょう!(ちなみにシューベルトは、他の部分を挟んだ後の「再現」という意味での「フレーズの再現」はされていますね!)
ただ、私の性質なのでしょうか、詩に沿ってはいますが、そのまま従っていくのではなく、同じ歌詞の繰り返しに違う旋律をつけるなどして、どうしても音楽としての展開をしてしまう衝動にかられましたが・・・。
メロディや疾走感を気に入ってくださる方が多くいらっしゃるのですが、実は「再現される主題がない」のです。次々に変わるメロディや曲想の音楽なので、スピード感を感じてくださっているのかもと、今更ながらに思っております。
と言うことで長々書きましたが、楽しんでいただけましたでしょうか・・・?!
今日はこの辺で!
shuto