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オーケストレーション(管弦楽法)を習得したい方へ 002 グリーグ:ワルツ 原曲(ピアノ版) を 弦楽四重奏版 へ


 このシリーズ、前回はオーケストレーションとレッスン概要をお話ししました。今回から、実作品の一部を編曲した作例(注意:作例は絶対的な解答ではなく、編曲する人や、考え方や、翻案の仕方によりさまざまであることを、ここに記しておきます。ご了承くださいませ。)を見てみましょう。
 今回ターゲットにする編成は、
・弦楽四重奏
・弦楽アンサンブル(合奏)
・金管五重奏
・木管五重奏
・特殊1管編成オーケストラ(木管五重奏と弦楽アンサンブル)
・通常1管編成オーケストラ
・通常2管編成オーケストラ

の7つで、一つずつ記事にしていきたいと思います。

ということで、まず最初は弦楽器ですが、なんと言っても強弱や音色が幅広く、これがあるからこそ「オーケストラ」といえましょう。
・ヴァイオリン(Violin)・・・Vn.と略記
・ヴィオラ(Viola)・・・Va.と略記
・チェロ(Cello)・・・Vc.と略記(ヴィオロンチェロ(Violoncello)ともいう)
・コントラバス(Contrabass)・・・Cb.と略記(ダブルバス、ダブルベース(Double Bass)ともいう。Db.と略記

の4種の各楽器ですが、今回は弦楽四重奏です(コントラバスは登場しません)。

 弦楽四重奏は、1stVn.、2ndVn.、Va.、Vc.、で、通常左からこの順で並び演奏します。なお、Vn.は1stも2ndも同じヴァイオリンですが、パートが2つであり、役割が違います。

 さて、取り上げる作品は、グリーグ作曲 抒情小曲集 第1集より 第2曲 Vals - Walzer ワルツ Op 12, No 2 で、冒頭18小節を抜粋して扱います。素材としては、一貫してこの曲のこの部分を扱うことで、同じ素材からどのように変化するかを感じ取っていただければと思います。
 取り上げる部分は、伴奏形のみのごく短い2小節のイントロから始まり、練習番号Aのリズミックな部分、Bからは少し曲調が変わる部分と、短い部分ながら音楽イベント少なからずあります。まずは原曲を見て、聴いてみましょう。













 グリーグは19世紀後半〜20世紀に活躍した、ノルウェーのクラシック作曲家で、北欧のショパンとも呼ばれるほどピアノ曲を数多く作曲しました。一般的には、劇付随音楽「ペールギュント」やその第1・2組曲、衝撃的で且つキャッチーな出だしで始まる「ピアノ協奏曲」がメジャーかと思います。編曲作品として、彼自身の歌曲やピアノ曲を弦楽オーケストラ版にしたものもあり、弦楽器のイメージに合う曲が多いな印象です。取り上げた曲は4声体和声を基盤にできていて、音域や音量変化もあり、オーケストレーションしやすいです。なお、曲自体、筆者は大好きです。話はそれますが、この第1集は、受験時代に聴音の課題として採譜していたこともあり、思い出の曲たちの一つでもあります。

 ということで、次に弦楽四重奏版にした音源と楽譜を掲載します(視聴は、良いスピーカーや、ヘッドフォンやイヤフォンをお勧めします)。









Vals-Walzer ワルツ Op-12-No-2 弦楽四重奏版




 いかがでしょうか?基本的には、上から音域順に原曲の音をそのまま当てはめていますが、いくつか異なる点もあります。
1・・・冒頭のイントロにおける伴奏音形の考え方とアーティキュレーションの追加について
2・・・2ndVn.の12小節目・1stVn.の13・16小節目のダブルストップについて
3・・・アクセント記号追加について
4・・・13〜14小節のメインメロディについて
5・・・ボウイングについて

 順番に見ていきましょう。

 まず、1・・・冒頭のイントロにおける伴奏音形の考え方とアーティキュレーションの追加についてです。
 ワルツは日本語で円舞曲ともいい、19世紀頃にもてはやされた、円を描きながら男女のペアで踊る、宮廷や社交場での舞曲です。速い3拍子のため、通常は1小節を1つ(「1・2・3」ではなく、「1•ト•ト」)で数えます。踊るためのものではありますが、演奏会で聴くためのものもたくさんあります。有名どころですと、ヨハン・シュトラウス2世作曲の「美しく青きドナウ」でしょうか。
 ワルツは、伴奏としては、1拍目低音に「ブン」と音を出し、2・3拍目に「チャッ、チャッ」と内声で刻みの音を入れるのが基本です。そのため、手分けして3声部に割り振ります。原曲では2・3拍目にスタッカートは書いていませんが、実際はスタッカートのように区切って演奏するわけで、スタッカートを加えています。また、1・2拍目にまたぐスラー記号があり、なるべく滑らかにつなげるために、1拍目にテヌートを加えています。これらアーティキュレーションは、ワルツについて・原曲について・スコアを見てわかっていれば、書いていなくても奏者はそのように演奏してくれると思いますが、アンサンブル作品は基本的にはパート譜を見て演奏するため、このようなアーティキュレーションを書いておいた方が良いでしょう。実際演奏する際に説明する時間や手間も省けます。
 なお、ペダル記号が冒頭にしかないですが、踏みっぱなしな訳はなく、およそ各小節の1拍目に踏み、2〜3拍ではペダルを離すと思われます。

 次に、2・・・2ndVn.の12小節目・1stVn.の13・16小節目のダブルストップについて です。
原曲では、この部分が5声体(縦に5つの音が同時に鳴っている)ですが、弦楽器は同時に複数の音を演奏ができることを利用して、音を2つ書いています。同時に2つの弦で演奏するため、ダブルストップといいます。

 次に 3・・・アクセント記号追加について です。
練習番号B以降、原曲ではトップノートのみにアクセント記号がついています。この意味をそのまま受け取るならば、もちろんトップノートだけにアクセントをつけて演奏するでしょう。しかし、おそらくこれは全声部に同じくアクセントをつけて演奏した方が、効果的に強調したりクレッシェンドしたりできると思いますので、今回は全声部につけることにしました。

 次に 4・・・13〜14小節のメインメロディについて です。
基本的には、トップノートを1stVn.に担当をさせていますが、ちょっとしたギミックとして実施するのが、担当声部の交換です。なお、この部分は反復進行になっています。ずっと1stVn.に担当させても問題はないのですが、入れ替えることによって奏者が代わり、聴衆は音色の微妙な変化や音源の位置の変化(奏者の場所が変わるので)を楽しめ、対話のような形となることで演奏者は飽きずに興味を持ちながら演奏できます。

 最後に 5・・・ボウイングについて です。
ボウイングは、弓の持ち手側から下に下げて(奏者の体の右側に移動させて)演奏するのを「ダウン(ボウ)」、弓の先から上に上げて(奏者の体の左側に移動させて)演奏するのを「アップ(ボウ)」と言います。基本的には、スラー記号がついている部分をひと弓(一続き)で演奏し、スラー記号がない部分は全て弓を返します。さらに、通常は強拍やアクセント記号などがついた音符をダウン、裏拍をアップで演奏することが多いです。記譜として、ダウンはホッチキスの針のような記号、アップはV字のような記号を、それぞれ音符の上部に付すことによって指定します。ただ、書き手である作曲家や編曲家は必ずしも書く必要はありません。初心者ではない奏者でしたら、奏者が最も良いと思われるボウイングを決めて(1stVnや、大きな編成ではそのトップ奏者が決めて、他の奏者や他のパートと整合性を保ちながら伝えていき)演奏しますし、もし指定したい場合は、「ここは絶対ダウンで演奏してほしい」というような場合に、記号を書きます。もし書くなら、という想定で、筆者なりのものを記譜しましたので、譜例を参考にしてみてください。











 いかがでしたでしょうか?今回は弦楽四重奏のためのアレンジでした。
次回は、弦楽アンサンブルのためのものを記事にしたいと思います。
 また、レッスンを受けてみたい、レッスンについてもっと詳しく知りたい、という方、お問い合わせはこちらからどうぞ!
それでは!


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