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オーケストレーション(管弦楽法)を習得したい方へ 008 グリーグ:ワルツ 原曲(ピアノ版) を 通常2管編成オーケストラ版 へ
このシリーズ、第1回はオーケストレーションとレッスン概要を、第2回では弦楽四重奏版アレンジについて、第3回では弦楽アンサンブル版について、第4回では金管五重奏版について、第5回では木管五重奏版について、第6回では特殊1管編成オーケストラ(木管五重奏と弦楽アンサンブル)版について、第7回では通常1管編成オーケストラ版についてお話しをしました。
今回は通常2管編成オーケストラ版です(注意:作例は絶対的な解答ではなく、編曲する人や、考え方や、翻案の仕方によりさまざまであることを、ここに記しておきます。ご了承くださいませ)。
まずは原曲(ピアノ版)ご覧ください。
オーケストラの規模を、1管編成オーケストラや、2管編成オーケストラなどのように、◯管編成という言葉を使い表します。基本的には◯に当てはまる数字の分、それぞれの管楽器奏者がいると思ってください。通常2管編成 とありますが、楽曲によって2管編成というのは微妙に違ったりします。
今回、通常2管編成オーケストラとして、木管はFl.・Ob.・Cl.・Bn.2本ずつ 、金管はHn.を4本、Tp.とTb.は2本ずつ、加えてB.Tb.1本とTu.一本、打楽器はTimpani(Tim.)とそのほか1〜2名(今回はTambourine(Tamb.)とCymbals(Cym.))、弦楽アンサンブルを扱います。並び順としてはこのように上からスコアに配置します。Hn.は金管楽器で音域としては、Tp.より下ですが、木管楽器とも融和性があり、伝統的に木管楽器に近い位置、つまりTp.の上に書きます。Hn.だけ4本ですが、2管編成では大抵4本で扱います。1&2伴奏者がセット、3&4伴奏者がセットです。なお、Tp.が3本だったり、Tb.やB.Tb.やTu.がなかったり、Hn.が2本だったり、打楽器がTim.だけだったり、することもあります。
以下に、通常2管編成オーケストラ版にアレンジした楽譜と音源を掲載します(視聴は、良いスピーカーや、ヘッドフォンやイヤフォンをお勧めします)。
いかがでしょうか?前回に比べて、管楽器の人数が増したため、最初から木管楽器が活躍していたり、フォルテに到達するまでのクレッシェンドが、金管楽器が増えて効果的になりました。また、打楽器がTim.以外に2人いるため、ワルツっぽい雰囲気が増しました。充実した「2管オーケストラ」という感じの響きがしますね!
さて、基本的には通常1管編成オーケストラを下敷にしていますが、原曲といくつか異なる点も含め、詳しくみてみましょう。
1・・・冒頭のイントロにおける伴奏音形の考え方とアーティキュレーションの追加と楽器割振について
2・・・アクセント記号追加について
3・・・2〜10小節のメインメロディについて
4・・・11〜12小節について
5・・・13〜14小節について
6・・・15〜16小節について
7・・・17〜18小節について
8・・・Hn.について
9・・・Tim.以外の打楽器にについて
の順番に見ていきましょう。
ということで、まずは、 1・・・冒頭のイントロにおける伴奏音形の考え方とアーティキュレーションの追加と楽器割振について です。
ここでは、今までは弦楽器のみの伴奏でしたが、規模が大きくなったこともあり、1st,と2ndの両Cl.と2nd Bn.も加えています。無しでもよいです。聴き比べてみましょう。
次に、2については 第2回でお話しした内容と同じなのでそちらをご覧ください。
次に、 3・・・2〜10小節のメインメロディについて
です。
ここは、Ob.だけでも良いですが、オーケストラの規模も大きくなってきましたので、メインメロディの1oct.上をFl.で増強しています。また、後半のフレーズでは、変化を与えるため1oct.下で1st Bn.が加わっています。前半からBn.ありでもいいですね。いくつかのパターンを聴き比べてみましょう。
続いて 4・・・11〜12小節について です。
今回は木管楽器が2本ずつです。Hn.などの金管楽器は使わずに木管楽器でうまく構成できます。Cl.とその1oct.上のFl.でメインメロディを、内声をOb.、低声部をBn.が担当しています。アクセントに弦楽器のpizz.を使用しています。
続いて 5・・・13〜14小節について です。
4とほぼ同じですが、Ob.とCl.の役割を入れ替えています。
続いて 6・・・15〜16小節について です。
15小節は再び、メインメロディをCl.にそして16小節で内声の動きがあるパートはHn.4名によるOct.ユニゾンに受け渡されます。また、1oct.上でFl.が内声の動きを補強しています。ここからクレッシェンド記号で全体はフォルテに向かっていきます。Hn.以外の金管楽器も段階を経て加わります。B.Tb.とTu.で、バスのパートを1oct.下で増強しています。打楽器はTim.は前回と同じくバス音をトレモロで、Tamb.は18小節からロールをして盛り上げます。Fl.はメインメロディの1oct.上を演奏することで強調する役割を担います。
続いて 7・・・17〜18小節について です。
今回は、最大限オーケストラの楽器を使うという観点で、すべての楽器を用いています。Fl.は1oct.上と2oct.上でメロディを重複することで増強しています。Cl.とOb.は1oct.上と2oct.上で内声を増幅しています。2st Bn.とTu.はバスを1oct.下で演奏し、強調しています。打楽器はTim.は前回と同じです。17小節の2拍目は本来のバスは「ミ・ファ」ですが、和音としては「レ・ファ・ラ・ド」なので、「レ」の音の連打で対応しています。古典的な手法ですと基本的にTim.は主音と属音(今回の曲では「ラ」と「ミ」)の2音で一対のものを用います。全楽器が一体となって盛り上がって、ドミナント→トニックのカデンツ部分で用いることが多かったためです。今回の場合は、楽曲中では必ずしもバスのラインと同じにはならず、和音の中の構成音のいずれかに当てはまる場合に用いることが多いです。
Tamb.とCym.は打点を引き立てるために演奏しています。Cym.は17小節目の1と3拍目ですが、これは17〜18小節をヘミオラのリズムと解釈し(「1とと、2とと」と数えず「1と2、と3と」と数え、2小節にわたり大きな1つの3拍子を形成する)、を強調するために、この拍で用いています。
弦楽器は前回と同じです。
続いて 8・・・Hn.について です。
Hn.は、1stと2ndが上パートと下パート、3rdと4thを上パートと下パートというようなセットで演奏することが多いです。4人で和音を演奏する時は、音の低い方から4、2、3、1、という順で組みます。例えば「レファラド」という和音があった場合1がド、2がファ、3がラ、4がレという具合に、2と3が1と4の間に入る形になります。今回は、内声2つを4本のHn.で対応するため、1と3が上の音、2と4が下の音を担当します。2倍の量で他の金管楽器1本と対等というように通常は考えます。
続いて 9・・・Tim.について です。
打楽器の中でも、Tim.はトップ奏者であり、それ専門の役であって、他に打楽器が必要な場合でも通常は持ち替えて演奏することはないです。Tim.以外の打楽器は他の奏者が担当します。
Tim.は現在ではペダルでピッチを操作できるので、最初に掲載して楽譜と音源では、最後の4小節はほぼバスのラインと同じ音となっています。15〜16小節ではトレモロあるいはロールといって、ばちで連続的に叩き、さらにクレッシェンドすることによって、盛り上げ役を担っています。楽譜に記載されたのように書くのもいいですし、「tr.〜〜」のようにトリルの記号で書いても良いです(この場合は、書かれた音符とその2度上の音のトリルではなく、同音連打を意味します)。17小節の2拍目は本来のバスは「ミ・ファ」ですが、和音としては「レ・ファ・ラ・ド」なので、「レ」の音の連打で対応しています。古典的な手法ですと基本的にTim.は主音と属音(今回の曲では「ラ」と「ミ」)の2音で一対のものを用います。全楽器が一体となって盛り上がって、ドミナント→トニックのカデンツ部分で用いることが多かったためです。今回の場合は、楽曲中では必ずしもバスのラインと同じにはならず、和音の中の構成音のいずれかに当てはまる場合に用いることが多いです。古典的な手法によるヴァージョンも作ってみたので聴き比べてみましょう。
いかがでしたでしょうか?今回は通常2管編成オーケストラ版のためのアレンジでした。
今回ですべて出揃いました。ぜひ、前回までの楽譜と音源を見比べ、聴き比べてみてください。
第2回は弦楽四重奏版
第3回は弦楽アンサンブル版
第4回は金管五重奏版
第5回は木管五重奏版
第6回は特殊1管編成オーケストラ(木管五重奏と弦楽アンサンブル)版
第7回は通常1管編成オーケストラ版
また、レッスンを受けてみたい、レッスンについてもっと詳しく知りたい、という方、お問い合わせはこちらからどうぞ!
それでは!
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