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G線上のアリア について【分析】
こんにちは、本日は、バッハ作曲「G線上のアリア」について取り上げます。
まずは、曲名についてです。
G線上=ヴァイオリン弦で、最低音の「G」の音が出る弦のことです。ドイツのヴァイオリニストであるアウグスト・ウィルヘルミが編曲し、ヴァイオリンのG線のみで演奏できることに由来しています。
アリア=(伊: Aria、独: Arie〈アーリエ〉、仏: Air〈エール〉、英: Air〈エア〉)。オペラなどの叙情的・旋律的な特徴の多い独唱曲、また、そのような曲のことです。既存の舞曲の分類に属さない、バロック音楽の組曲の楽章の名にも使われます。
正式名称は、『管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068』の第2曲「エール (Air)」です。
成立1722年頃に作曲されました。
管弦楽組曲=オーケストラのための組曲で、ドイツ語: Orchestersuite, Ouvertüre, 英語: Orchestral Suite, Overtureなどと表記します。
組曲は英語で「Suite(スイート)」で、sweet(甘い)ではないので注意です(例:スイートルーム)。
バロック時代では、狭義には、「アルマンド・クーラント・サラバンド・ジーグ」を組みにしたものが基本フォーマットです。他によくあるパターンとしては、フランス風序曲形式の曲を第1曲として、舞曲をメインとした曲を数曲組みにしたものがあります。
フランス風序曲に始まる作品という意味で、組曲全体を「序曲」(Ouvertüre)と呼ぶことが一般的で、バッハ自身もSuiteではなくOuvertüre と呼びました。
この組曲は、変則的で、
第1曲 序曲 4/4 - 2/2
第2曲 エール(エア、アリア) 4/4
第3曲 ガヴォット 2/2
第4曲 ブーレ 2/2
第5曲 ジーグ 6/8
となっています。
楽器編成は、組曲全体は
オーボエ 2、トランペット 3、ティンパニ、ヴァイオリン 2部、ヴィオラ、通奏低音です。
アリアは、ヴァイオリン 2部、ヴィオラ、通奏低音です。
さて、通奏低音とは、主にバロック音楽における伴奏形態。楽譜の低音部の音符を演奏する低音楽器(ファゴット・チェロ・コントラバスなど)と、音符の下に書かれた数字に従って即興的に和音をつけて演奏する鍵盤楽器(チェンバロやオルガンなど)のことです。
今回の楽譜は、数字は書かれていないものを用意しています。また、この作品は鍵盤楽器奏者が演奏しなくても演奏自体は成立します。そのため今回は弦楽4(5)部のオーケストラとしてみていきましょう。
それでは、以下、分析楽譜です。


楽譜は4段ですが、一番したのだんはチェロとコントラバスが担当します。チェロは、書いてある通りの音が、コントラバスは実際には1オクターブ下の音が出ます。このように、おおよそ古典派くらいまでは、チェロとコントラバスの扱いはこのようにセットなのが普通で、時代を経て、それぞれが独立した声部で扱われるようになり、おおよそロマン派以降は「弦楽5部」となりました。
バロックの作品の場合、いわゆる日本式の和音記号の分析が最良かどうかという問題がありますが、今回は、それは置いておきましょう。
バッハの作品は、対位法(独立した複数の声部)的な作法と、和声法(和音と和音との連結)的な作法が合わさった作曲法が特徴的です。
様々に絡み合う旋律、明確な和声進行や終止形がみて取れます。名曲としての理由には美しい旋律が挙げられると思いますが、それだけでしょうか?非和声音がどのように配置されているか、ハーモニーの移り変わりやタイミング、転調、内声の動きや絡み、反復進行など、たった2ページの作品ながら、工夫されている点がたくさんあります。
詳しくは、画像の分析譜をご覧いただけたら幸いです。
以上、何かのお役に立てばと思います。
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